街の記憶
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ドラマの中に出てくる街に、三年ほど勤めていた。
そのドラマは芸達者の俳優たちが出てくるので、安心して見ていられる。
その街に良く似合ってる風情が画面の中に現れる。
それなのに、それを見るたびに懐かしさと一緒にとざらつく思いも混じってる。
拳をにぎって、ポカポカッと頭を叩きたくなるのです。



神楽坂はいろんな味の記憶が残る街。
老舗料亭にはこれっぽっちも縁がなかったけれど、紀の善のあんみつ、五十番の肉まん、毘沙門様の縁日のベビーカステラの屋台、今はなき佳作座で映画を見た後、必ず食べた広島お好み焼きのれもん屋、今問題になってる不二家のぺこちゃん焼き。(挙げてみると安いものばかりだわ。)
当時スレンダーだった(!)わたしは満腹感というものを知らず、坂を上がったり下ったりしながら、味を探訪する日々だった。

仕事は恐ろしいほど単調だった。
コンピューターのフォントをひたすら作る職人気質の社長の隣で、ひたすらお手伝いする仕事。
いつもいつもひたすらあせってた。もっと感動とか達成感とか充実感を味わえる仕事はないものかと思っていた。そうは思っても、何をしたらいいのか、何ができるのか、全くわからずに、霧の中のようなもやもやの気分をひきずって、坂を上り下りしてた。そんなことだから全く仕事に身が入らずによく失敗もしたし、遅刻もしたし、今思うと超ぐうたら社員だった。

遊牧民のように転職を繰り返して、なんとか今に落ち着いたけれど(たぶん落ち着いたと思う)、地味だけど、こつこつとやり続けることがどんなにか素晴らしいこととわかったのは、ずっと後になってだった。
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by calligraphy_m | 2007-01-27 00:01 | 墨(和)
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