街の新陳代謝
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「長らくご愛顧を賜りまして...」と手書きの紙きれが風にひらひら。駅前の本屋さんのシャッターが閉まっていた。レジを守る偏屈そうな親父と共に、いつか買われるのをじっと待っている本がみっちりと並んでいた本屋さんだった。少し暗めの蛍光灯がじぃぃぃっと灯っていて、ずっしりと本に包まれる感覚(重い掛け布団にくるまって寝るような)を好ましく思っていたんだっけ。その感覚を思い出して、あーーっと残念な気持ちが湧いてくる。

数日前のこと、わたしはその通り沿いに新しくツタヤができるのをにんまりして見ていたんだ。一階には、たくさんの本棚が大量の本とともに並べられるのを待っていた。そうか、そうか、ツタヤができるからあの本屋さんは閉めたんだ、と数日前の喜びが半減。ううむ。
そういえば、そのツタヤができる前は角材がいっぱい立てかけてある、今時珍しい材木屋さんだったんだ。ちょっと覗くと、だだっぴろい広場にぽつんと手桶井戸が見えたんだった。

こうして街は新陳代謝を繰り返していく。
本屋さんの跡にはどんなお店が入るんだろう、と思いながらとぼとぼと歩く帰り道。
そして沈丁花の香りが鼻をかすめる。
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by calligraphy_m | 2008-03-11 22:38 | 墨(和)
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