わらべはみたり 夜中のラナンキュラス
2009年 03月 15日
確か向田邦子のエッセイに「野中の薔薇」を「夜中の薔薇」と勘違いしてたってのがあったような。
本棚をがさごそしても目当ての本は出てこなくて、ましてやあやふやな記憶の糸をたどっても、エッセイの中身は思い出せず、真夜中の闇に淀むばかり。
そんな闇に挑むかのように、ラナンキュラスが艶めかしい風情を漂わせているもんだから、カメラをぐぐっと寄せて深夜の撮影タイム。ええ、夜中の薔薇ではなくて、夜中のラナンキュラスです。花びらが震わす音も聞こえてきそうなほどのひそやかな時間に、闇の塊が動きを止めてじんわりと佇んでます。
やがて心の中もしんとして、瞼がこてんと音をたてて眠りに落ちました。
次の朝、ラナンキュラスの花びらが床に1枚落ちていました。
花の終わりのため息は聴けませんでした。
by calligraphy_m
| 2009-03-15 21:49
| 墨(象)